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オナニーの語源と迫害の歴史

男性も女性も、年頃になれば自然と始めるようになるのが自慰行為、オナニーです。
この"オナニー"の語源は非常に古く、なんと旧約聖書に登場する男性の名前・オナンにちなんでいます。しかし、旧約聖書でオナンが行ったのは、今で言うオナニーではなく、膣外射精でした。

語源は旧約聖書にあり

オナンは、早世した兄に代わって兄の妻と結婚し、子孫を残すように命じられますが、子どもが生まれた場合は"兄の子供"として扱われ、親の遺産もその子どもに渡ってしまうため不満でした。そのために兄嫁とのセックスでは、膣内で射精せずに膣外射精を行い、妊娠を避けます。こうして「膣内に射精しないこと=オナニー」と呼ばれるようになりました。

そこから、生殖行為につながらない射精がオナニーと呼ばれるようになり、また女性の自慰行為も同じように呼ばれるようになっていったのです。

ちなみに、西洋ではこの旧約聖書のエピソードから「オナニーは悪」との認識が広まっていきます。聖書ではセックスにより「産めよ増やせよ」と説いていますから、生殖行為につながらないオナニーはいけないこと……と解釈されたのです。

しかし、旧約聖書中でオナンが非難された(神により殺されています)のは、「兄に代わって子を作り血縁を残す」という当時の風習を破ったためで、膣外射精をしたこと自体ではありません。オナンの罪が誤解されて、オナニーが忌避される風潮になっていったのです。

中世では科学的にも"オナニーは悪"に

18世紀には、宗教的、道徳的な理由以外に、医学的にも「オナニーは有害」とする考えが広まりました。スイスの医学者・ティソは2冊の本でオナニーの医学的有害性を説き、この影響から19世紀初頭にはドイツの哲学者・カント、同じくドイツの神学者・ルソーらもオナニーの有害性を広めていくようになります。

こうして19世紀から20世紀にかけては、オナニーをすると多くの病気の原因となり、また男らしさ、女らしさを失われる行為であるとの風潮が完成します。寄宿舎などでは隠れてオナニーができないようトイレの壁にも穴が開けられ、またオナニーをしたことが発覚すると退学処分となることもありました。オナニーがやめられない少女はクリトリスを焼きごてで焼かれる、といったことすら起こったそうです。

こうした風潮は、20世紀にオナニーについての新たな研究が続き、言われるほどの有害性がないことが証明されるまで続きます。また、医学的な有害性は否定されても、キリスト教圏では宗教的観点からオナニーを害悪とみなすケースは観られるようです。

実際にオナニーは有害なのか?

実際にオナニーに有害性はあるのかについて、やりすぎると性器が黒ずむなどと言われますが、これはオナニーのせいではなく「加齢により誰でも徐々に黒ずむ」のが正解です。また女性であれば小陰唇が伸びるとも言われ、これは実際に多少伸びることもあるようですが、大きく変形するほど伸びることもないようです。

もっとも大きな有害性といえば、強い力で刺激の強いオナニーを繰り返すことで、セックスの際に射精しにくくなることでしょう。女性の膣の摩擦はさほど強くないために、射精できなかったり、極端な遅漏になってしまいます。こうなってしまうと、立派な病気、機能障害の一種ですから、しっかりとクリニックで治療を受けたほうがいいでしょう。